秀美をいじめていた女子生徒の一人。彼女から突然、髪を切られて恐怖を感じていく。取り巻きの男子たちが秀美を脅していく
『ふざけんな!なに調子乗ってんだよ、早川のくせに』
自分たちがいじめておきながら、やり返されたら先生に言いつけてやると言い出す男子生徒。
『どうぞ』
冷静に淡々と語る秀美。
いじめグループの女子リーダー格の女子が伝える。自分のお母さんはPTAの役員だから、この件を伝えれば両親も呼び出されて大変なことになると。
それを聞いても顔色一つ変えずにどうぞと伝えていく秀美。くすぶっているいじめっ子たちを尻目に今から職員室へ行こうと言い出す秀美。
予知能力のある少年にも一言。
『悪いけど一緒に来て証言してくれる?』
少年の方も顔色ひとつ変えずに「いいよ」と一言。異質な二人の雰囲気に飲み込まれていくいじめっ子グループ。
同時に職員室に一緒にいって秀美がもし虐められていたことをチクったら逆に自分たちが大変なことになると頭を働かせるいじめっ子グループ。
しかし、そのやり取りを聞いて疑問を投げかけていく秀美。
『イジメられてた?私が?誰に?』
いじめっ子グループにやられてきた悪事をつらつらと語る秀美。しかし、そんなことは以前から何も感じていなかった。
『私あなた達に対してどうでもいい以外の感情を持ったこと一度もないけど』
そういうと持っていたハサミをイジメっ子女子の一人にハサミを振りかざしていく秀美。
『なんなら本物を教えてあげようか?』
ハサミはイジメっ子女子の顔の横へ。あまりの恐怖で声が出ないいじめっ子女子。最後に二度と関わらないでと伝えていく。
逃げるように去っていくイジメっ子たち。
目障りな人間たちがいなくなったと言って予知能力のある少年に問いかけていく秀美。
『あなたは何者?』
少年は語る。自分がわかっているのは秀美がからっぽだけ。どうしてからっぽ状態なのかはわからないと伝える。同時に付け加える。
『そこまで見てもいいなら見るけど』
彼の言葉に何かを理解して隣に座らせる秀美。今から自分でどうして自分がからっぽの人間になったのつたえると言い出す。
『私の母、すごく学歴にこだわる人』
そう言い出すと秀美は自分の幼少期時代から話し出していく。ゲーム感覚で難しい問題も解けていた秀美。いわゆる秀才な女子であった。
『成績はずっとトップだった…でもある時、ふと、周りを見た…誰もいなかった』
周りにあるのは嫉妬、妬み、悪意だけであった。それに気づいた時、自分がなぜこんなことをしているのか疑問が出てきた秀美。それから勉強をやめて気づいた時にはからっぽ状態になっていたと明かしていく。
全てがどうでも良くなって自殺しようと思っていたところに少年が現れたと語る秀美。
そして彼の一言がきっかけでイジメっ子たちに殺されたと思われるのが嫌であったと語る。同時に秀美は別の感情も湧いてきたことを告げる。
『あなたが何者なのか知りたい』
少年は秀美にいくつか注文をする。学校では話しかけないでほしい。聞いた話は他言無用。髪を綺麗にしてくること。明日の放課後、俺のあとについていくること。
これらを言い残して秀美の前から立ち去っていく少年。秀美も了解していく。
自宅に帰る秀美。
母親が弟の秀人に対してスパルタ教育中であった。そこへ帰宅してくる秀美。彼女の髪を見て母も弟も仰天していく。
美容院代をせびる秀美。
気まずそうな表情を見せる弟の秀人。秀美は彼に何も言わず立ち去っていく。
翌日、教室が騒然としていた。
秀美がはおでこが出るほどのベリーショートヘアにしていたのだ。担任の先生は心配する。もうひとりの女子も髪をさっぱりさせていたからだ。二人の間で何か起こったのではないかと心配になる。
『先生が心配するような事はもうありませんから、安心して下さい』
それを聞いて察する先生。安堵の表情を漏らしていく。
イジメ女子二人を見遣る秀美。最後に担任の先生を見る。そして漏らす。
『気付いてないフリしてた奴が一番ムカつく』
秀美にとっては初めての感情であった。そして放課後。廊下で少年の姿を捉える秀美。後をつけていく。
ある程度、歩いていくと駐輪場へ。少年は自転車に乗る。後ろに秀美が乗るように指示を出す。少年が辿り着いた先はアパートであった。
ここは隠れ家であると語る少年。
そして、もう一人呼んでいると伝える。現れたのは帽子の男こと梶原大地(以下、大地)である。自己紹介をする二人。予知能力のある少年が大地に伝える。
『下敷きになるはずだったうちの生徒』
それを伝えるとどこかへ行ってしまう少年。後は任せたと。秀美と二人きりになって最初は青ざめる大地であった。しかし、少年の言葉を聞いて思う。
『てことは…やっぱり君がキーパーソンなんだな…』
少し理解が追いつかない秀美。
まずはソファに座らせて落ち着かせる。そして改めて自己紹介をする大地。彼は23歳の大学2年生であった。
秀美に尋ねる。
少年からどこまで聞いたのかと。
彼の能力の事を少し聞いただけであると伝える。その能力について、もっと詳しく説明する大地。
『あいつは見る事が出来るんだ…ちょっと先の事、つまり未来がね』
やたらと能力について詳しい大地。そこに突っ込んでいく秀美。実は大地も中学生まで未来を見る事が出来たと伝えていく。
『俺があいつと初めて会ったのは3年前。俺は二十歳であいつは5年生だった』
大地はおもむろに帽子を取っていく。髪がぺちゃんこなので少し恥ずかしがる大地。同時におでこにある傷跡を見せていく。
『3年前、俺はあいつに殺されかけたんだ』
第7巻は終了。